imitation puzzle 1日目・1
さぁ、ゲームの始まりだ
ルールは簡単、四週間のうちにこの謎を解き主催者を捕まえればいい
この学校の生徒は全員参加だ
誰にも捕まえられなかったら、主催者の勝ち
誰か一人でも謎を解き主催者を捕まえたら、君達の勝ち
さぁ、ゲームを始めよう
敗北者に、命は無い
開始
いつもと変わらぬ朝の学校。私の目の前には、そんな内容の貼り紙が掲示板にでかでかと貼ってあった。それは玄関を入ってすぐの所で、嫌でも目についた。
「やぁおはよう、詩織」
私がその貼り紙をじっと見ていると、友人の智村飛鳥が声を掛けて来た。
「おはよう、飛鳥。……これどういう意味だと思う?」
「ん? 何だこれ」今初めてその存在に気が付いた様にそれを覗き込む。「……ゲームの始まりだぁ? なーにふざけた事書いてんだか。ただの悪戯なんじゃねーの?自己顕示欲が強い奴のさ」
飛鳥はあっさりとそう言った。確かにそうだろうと私も思う。
これに書かれた事が本当なら、私達は皆、命を賭けたゲームをしなければならない。しかし、そんなことが出来るはずが無い。全校生徒を巻き込んで、一体どれだけの事が出来ると言うのだろうか。
それに……、
「"この謎" とかって書いてっけど、謎も何も無いよな。こんな貼り紙だけで主催者なんかわかるかっての」
「同感」私の考えていた事と同じ事を飛鳥も考えていたのか。「面白くも無い悪ふざけだよね」
だんだん貼り紙の周りに人が集まり始める。なので私は、教室へと向かった。
私の通う星琳高校は、一応私立だが、あまり勉強に力を入れていない。部活動の方に力を入れ過ぎているからだ。生徒は必ずいずれかの部に入らないといけない事になっている。まぁ、県内のさまざまな大会等でうちの学校は活躍をしているからそれで良いのだろう。それに、勉強にそれ程力を入れていないとはいえ、入試が結構難しいので基本的に勉強の出来る人が多い。私の様なぎりぎりで入った人にはついて行くのが精一杯である。一日の授業が終わった頃には、集中力を使い果してしまっていると言っても過言ではないだろう。
そして今日も例に漏れず、部活の時間には疲れ切っていた。
「オマエさあ、ここに寝に来てんの?」
飛鳥が呆れた様に言った。それも無理はない。私は部室に来るなり机に突っ伏して、ボケーっとするのが毎日の日課みたいになっているのだから。
「私、文芸部に入って良かったと思うな。運動部みたいに毎日なんかしないといけないのなら、体がもたなかったと思うから」
そう、私は文芸部に所属している。飛鳥とはここで知り合った。同じ一年だが、クラスが違うと部活が同じでもなければ会う事は少ない。私は人語科で、飛鳥は理数科だ。……どちらが難しいかは言うまでもない。
「ま、確かにすることは少ないわね〜。あんまり力を入れられてない部活動の内の一つだし」
言ったのは、来崎咲だ。童顔でポニーテールの似合う、私と同じ一年の子で、飛鳥の幼馴染であり、私の友人の一人でもある。
「大会とかが在るわけでも無いからな。そんなものだろう」
この発言は、唯一の三年である伊吹京也先輩のものだ。彼は文芸部の部長をしている。
今この場には居ないが、部員はあと二人居る。二年の赤城友久先輩と紫ノ宮凛先輩だが、今日は、二年は何か特別行事があるらしくて、来るのが遅くなるのだそうだ。特別行事とは、一体何なのだろうか? 詳しい事は二年生にしか分かっていないらしい。
「一体何やってんのかしら、二年生達。京也先輩は知りませんか? 特別行事の内容……」
咲がそう尋ねたが、先輩は首を横に振って答えた。
どうやら今日は、よく分からない事が起きる日らしい。今朝の妙な貼り紙や内容極秘の特別行事だけでなく、調理室の不自然な発火事故や、誰が触るでもないのに本棚からいきなり本が落下してきたとか、そういう奇妙な出来事が学校のいたる所で起きたと聞く。不思議な日だ。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」
何処からか、甲高い叫び声が聞こえた。それに続いてたくさんの人の叫び声や怒鳴り声が聞こえてくる。
何があったのかと私達は廊下に出た。他の部の人達も、同じ様にしている。皆何が起きたのか全く分かってない様だった。
―――――それは、ゲームの本格的な始まりだった。