imitation puzzle 1日目・2
ジグソーパズルの様な謎解きゲーム
けれど組み立てただけでは、新たな謎が増えるだけ
もしかすると、ピ−ス自体が足りないかもしれない
誰か、その絵柄を完璧に当てて見せるだろうか?
未完成なそれしか目にしないとしても
別のピースも混ざって居るかもしれないとしても
誰かに、その絵柄を完璧に当てられるだろうか……?
ジグソーパズル
救急車のサイレンが遠ざかっていく音を、私達は部室で聞いていた。
"どうやら二年生の三人が大火傷を負ったらしい"
私達に聞こえてきた情報は、それだけだった。詳しい事は何も分からない。この事を伝えに来た先生は、何やらものすごく焦っていて「部活は止めて、すぐに寮に戻れ」とだけしか――この学校は全寮制で、特に事情が無い限り寮に入らないといけない事になっている――言わなかったのだ。その上、当の二年生達は全員、特別行事とやらをやっていた体育館から出て来ない。何が起こったか、それを知る術は少なくとも私には無い。
「さ、寮に帰ろーぜ」飛鳥が自分の鞄を手にとって言った。「ここに居ても寮に戻っても違いは無いだろ?」
「そうだな」京也先輩が答える。「あんなに焦っていたという事は、それなりの事が起きたからなんだろうしな……」
その時、いきなりドアが開いて一人の人物が飛び込んで来た。
「京也さん!たった今手に入れた情報があるんだけど、要る?」
新聞部三年の天薙結架先輩だ。彼女は京也先輩を尊敬しているらしく、良くここへ来る。……恋愛感情ではなく、本当に尊敬しているだけらしいから不思議だ。
「聞こうか。今起こっている事についてなんだろう?」
「えぇ、そう」そう言って結架先輩は手近にあった椅子に座る。「さっき救急車で運ばれていったのは、二年生理数科の清藤博紀さんと山崎和歌さん、それから人語科の浅山祐一さんね。彼らは突然原因不明の発火により、全身に大火傷を負ったの。いわゆる人体発火現象と言うやつよ」
その言葉に私達は思わず顔を見合わせた。体育館でなぜ火傷なのかと思ったけれど、まさか原因不明だとは思わなかったのだ。
「それってホントなんですか?」咲が、信じられないといった表情で聞く。
「もちろん。私が京也さんに嘘の情報を伝えると思う?」
……それは無いだろうな。妙に説得力のある言葉に、私達は納得した。
「その三人は、お互い近くに居たのか?」京也先輩は少し首を傾げて尋ねる。「まさか別々な所に居た三人に同時に人体発火現象が起きたとか言うんじゃないだろうな?」
「それが、お互い離れた所に立っていたって言うのよ」結架先輩は真剣な顔をして言う。「なのに同時に三人の身体から、いきなり火が上がったそうなの。それでパニック状態なのね。今先生方が二年生達に事情を聞いているんだけど、誰もその原因が解らない様だわ。数人の先生もその場に居たんだけど、やはり解らないらしくって。警察沙汰にするか否かを検討中らしいわ」
そんな事が本当にあるのか、実際に起こったと言うのなら信じるしかないが……信じがたい事は確かである。それも、私の身近で起こったとなると尚更だ。
「天薙先輩、運ばれた三人はどうなったんだ?」
そう尋ねたのは飛鳥だった。確かにそれは気になるが、二十分程前に運ばれたのにそんな事が分かるはずが無い。ここから一番近くの病院まで十五分程度、結果は出ているかもしれないが、それを結架先輩が知っている訳が――あるかもしれない所が怖い。
「そうね………そろそろだと思うんだけど」
先輩が言ったその時、オルゴールの様なメロディが流れた。誰かのケータイの着信音だ。
「あ、きたわね」結架先輩のらしく、ポケットから水色のそれを取り出す。「――はい、結架です。……そうですか……え?――えぇ、わかりました。それでは」
そして、ケータイをパタンと閉じた。私達の視線は自然と結架先輩に集まる。彼女は目を伏せて哀しそうに告げた。
「三人とも亡くなられたそうよ。かなり酷い火傷で、手のうちようが無かった様ね」
私達の上に重い空気がのしかかる。まさかそんな事が起こるなんて、誰に予想出来ただろうか。一人ならまだしも、三人もなのだ。――これは、起こりうる事なのか?自問自答したところで意味は無い。起こってしまった事なのだから……。
「これが一番重要なんだけど、」結架先輩が口を開いた。「三人の傍には、妙な紙切れが落ちていたんだそうよ。"まず初めの敗北者"と書かれた紙切れで、やはりこれも誰が落としたのか判らない様だわ」
――私は、あるモノを思い出す。
「……あの貼り紙……」
咲の呟きに、全員がはっとした。
誰も本気にしなかったモノ。
冗談でしか無いと思ったモノ。
それがこんな事になるなんて、
一体誰に想像し得たのだろうか―――?