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imitation puzzle 3日目・2


 季節が移り変わるのと同じ様に
 人の心も移り変わる
 それはとても自然な事だ
 世界各国に四季が在る訳では無いとしても

 移り変わる人の心
 それを誰に予想し得ると言うのだろう
 決して不変ではないこの世界で

 なんにせよ
 このゲームは自分の気紛れに進んで行く

 さて次はどうしようか……?


落葉樹


「ねぇ二人とも、知ってる? わたしのクラスメイトが昨日のあれで五人も亡くなったって」
 ここは寮の自分の部屋。ルームメイトの鳴海朝姫がいきなりそう聞いてきた。
「一応聞きました」同じくルームメイトの水無香澄が興味薄そうに答える。「けれど、その割に皆さん平然としていますよね」
「それは私も思う。もっと動揺してても良いと思うんだけどね。だって朝姫自身危なかったんだから」
 私達二人の答えに、朝姫は複雑そうな顔をする。
「確かにそうなんだよね……」首を傾げながら呟く。「いくらそんな話した事の無い人達だって言っても、五人の人が死んだんだよね。そしてわたしは、その人達と話した事も何度かあるんだよね。今まで一緒に授業も受けていたんだよね。なのに何でかな? 何と言うか……実感がまるで無いの。多分皆、そんな感じなんだと思うよ」
 "皆そんな感じ"、か……。それはきっと、朝姫のクラスだけでなく、この学校全体に言える事なのだろう。まだ三日目なのに、すでに八人の生徒が亡くなっている。病院に入院しているのが、九人。軽傷で済んだ生徒は二十人より多いか、というくらいだ。その他さまざまな被害にあったけれど、肉体的には無事だったと言うのは、三十数人くらいに上るだろう。些細だけれど謎のある事件は、至る所で起こっているのだ。まぁ、それが全部ゲームのうちなのかは知らないが。
「きっと、自分が被害者になり得ると言う可能性を直視したくないんですよ。私だって詩織さんだって、この状況に対して動揺するのが普通なのに、普段と変わらないように見えますよね?」
「……実は内心ドッキドキって事?」
 朝姫の妙な解釈に、香澄はただ「さぁ……?」とどうでも良さそうに答えた。
 香澄が言いたかったのは、これが紛れも無い現実だと言う事だろう。誰もが関わっている筈なのに、誰もがそれに目を向けようとしない。それは現実を現実と認識していないから。新聞やニュースで知るさまざまな事が、何処か別次元の事の様に思えてしまうのと同じ。
 あえて言い直すならば、"自分じゃないから大丈夫!"。それは根拠の無い自信でしかないというのに……。

「ねぇ、なんで警察はこの学校の事気にしてないと思う?」
 また朝姫が唐突にそう聞いてきた。
「警察、ですか?」少し興味を示した様に香澄は聞き返す。「……そう言えばそうですね。人体発火と爆発騒ぎ、一応警察は来ましたがおざなりな捜査しかしませんでしたね。死人が出ているのに、おかしいですね」
「そうだね、かなりの死人が出てるのに特に何も言ってこないし。何でだろうね」
「そう思うよね? なのに、誰も何も言わないから気になってたの。こういう場合って学校が休校とかになったりするんじゃないのかなぁ。警察もちゃんと捜査すると思うんだけど……」
 そう言って朝姫は、ベッドに倒れ込んだ。ごろんと転がって、そのまま何か考え込む。
「警察に何か大きな力でも掛かってるのかな? そうでもなきゃこんな事無いと思うんだけどなぁ。いくら何でも、この状況が全然大した事の無いモノとは思えないし……。でも大きな力って言っても、並大抵じゃないよね、警察を押さえ込んじゃうんだから……。まさか、SFっぽく"この学校以外は何もかもが無くなっていた"とか言う設定があったりとか……しないよね?」
 ……聞かれても困るんだけどね。いくらなんでもそれはありえないだろう。現に昨日病院まで行って戻ってきた人が居るし、今も病院に居る人が居るし、……そこまで現実離れした事があってたまるか、と言う気分である。
「朝姫さんは、この学校に何が起こっているのだと思いますか?」香澄が不意に尋ねた。
 その質問に、朝姫は寝転がったまま腕を組んで答える。
「う〜ん、そんな事訊かれてもね……。ぶっちゃけて長い夢でしかない様な気がしてるの。そのうち目が覚めて、『あぁ、変な夢見たなぁ』って思えそうな、そんな気がするの」

 ――何故警察がこの学校の事を気にしないのか。

 その答えが判るのは数日後の事だった。
 この日はもうそれについて考える事は無かった。

「だれかぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!」

 その叫び声によって、思考を中断されたのだから……。